仕事帰りにスーパーへ寄るたびに、同じ場所でぼーっとしていた。
「今週、何がいるんだっけ」「鶏肉はあったかな」「玉ねぎ昨日切ったっけ」——全部思い出せなくて、とりあえずカゴに入れて、結局何かが余る。3ヶ月前まで、毎週それをやっていた。
買い物リストを固定にした。毎週同じものを買うと決めた。最初は「飽きそう」と思ったが、3ヶ月経った今、食費は月4,000円下がって、スーパーで迷う時間はほぼゼロになった。
この記事でわかること:
- 固定買い物リストの考え方と作り方
- 実際に私が使っているリスト(食材カテゴリ別)
- 3ヶ月使って気づいた節約効果とデメリット

毎週「何買う?」を考えるのが、じわじわしんどかった
仕事帰りに「献立考えながら食材を選ぶ」って、思っている以上に疲れる。
頭の中でやっていることを整理すると、「今家に何があるか思い出す」→「今週食べたいものを考える」→「それに必要な食材を割り出す」→「量と値段を見ながら選ぶ」という、実は4工程ある。これを残業後の脳でやると、けっこうきつい。
で、私は自覚なく毎回「とりあえずいつも買うものを買う」という行動をしていた。鶏むね肉、卵、豆腐、もやし、あと適当な野菜。ほぼ毎週同じ。
「あれ、それって最初から決めればよくない?」
気づくのが遅かった。
食材選びは小さな意思決定の積み重ねだった
人が1日に行う意思決定の数には限りがある、という話がある。朝から仕事でいくつも判断をこなした後、夕方に「今日の夕食は何にしよう」という問いに向き合うのは、想像以上にコストがかかる。
これは自分の経験でも実感していた。疲れている日ほどコンビニに寄ってしまうのは、「食材選び」という意思決定を避けたいからだと思う。
だから、毎週の食材をあらかじめ「固定」にすることは、単なる節約術じゃなくて、脳の消耗を防ぐ仕組みづくりだった。
買い物リストを固定化するとはどういうことか
「1週間の献立を先に考えて、それに合わせてリストを作る」というやり方がある。これは計画的で良い方法だが、「献立を考える」という工程がすでにしんどいという問題がある。
私がやったのは逆だ。
先に「毎週買う食材」を決めて、その食材の範囲内で料理を考える。食材が決まっていれば、献立は「これで何を作るか」を考えるだけになる。
曜日・週ではなく「定番セット」を決める発想
献立を週ごとに立てるのをやめた。代わりに、「毎週買う定番セット」を作った。
このセットは「今週の献立」ではなく「私の定番食材」として機能する。来週も、再来週も同じものを買う。変わらない。
なんだかんだ「料理が億劫な日に作れるもの」と「ちょっと頑張れる日に作るもの」の食材は、そんなに変わらないと気づいた。鶏むね肉があれば、疲れている日は塩茹で、少しやる気があれば鶏ハムになる。同じ食材で対応できる幅が思っていたより広かった。
最初に1回だけ考えれば、あとは回すだけ
最初に「私の定番セット」を作るときだけ、じっくり考える。
- 自分がよく作る料理は何か
- それに必要な食材は何か
- 毎週安定して手に入る食材か(旬のものは外す)
- 値段が安定しているか
この4つで絞り込んだ食材を並べたのが、固定リストの原型になった。一度作れば、毎週の買い物はそのリストを持って行くだけ。
固定リストを作るための具体的な手順
いきなり「リストを固定にしよう」と思っても、何を固定すれば良いかわからない。私も最初に2回失敗した。その経験をふまえて、実際に使える手順を整理した。
手順1:今の自分が「なんとなく毎週買っているもの」を書き出す
固定リストを一から設計しようとすると難しい。「栄養バランスを……」「コストを……」と考え始めて、すぐ複雑になる。
一番簡単なのは、「今自分がなんとなく毎週買っているもの」を書き出すことだ。人は意識していなくても、ある程度同じものを繰り返し買っている。それをそのまま「固定リスト」にするだけで、第一版は完成する。
実際の手順としては、次の買い物に行くとき、買ったものを全部メモする(スマホで写真を撮るだけでも可)。これを2〜3週繰り返すと、「毎週必ず買っているもの」と「たまに買うもの」が見えてくる。
前者が固定リストの候補になる。
手順2:「なくなると困るもの」と「なくてもいいもの」を分ける
書き出したリストを2つに分類する。
なくなると困るもの:タンパク質・卵・主食(米など)。これは毎週必ず入れる。
なくてもいいもの:今週食べたい気分になったもの、特売だったもの。これは固定リストから外す。
ポイントは「食べたい」ではなく「なくなると困る」で判断することだ。「食べたい」基準にすると毎週変わる。「なくなると困る」基準にすると自然に固定されてくる。
手順3:1週間試して、使い切れなかったものを削る
最初のリストで1週間買い物をする。週の終わりに冷蔵庫を見て、残った食材を確認する。
余ったものは「多すぎた」か「使う機会がなかった」のどちらかだ。前者は量を減らし、後者はリストから外す。
私の最初のリストには「小松菜」と「ほうれん草」が両方入っていた。毎週どちらかは使い切れなかった。だから今は「小松菜またはほうれん草(安い方を1袋)」に統合した。こういう微調整を2〜3週繰り返すと、自分に合ったリストになる。
手順4:「スーパーで追加したくなるもの」に備えておく
固定リストで買い物に行くと、「今日はこれも買おうかな」という誘惑が出てくる。特売品、季節もの、「おいしそう」なもの。
これを全部無視するのは難しい。だから「週1回だけ、リスト外から1品追加してよい」というルールを作った。
1品だけ、という制約があると「今日の1品は何にしようか」という選択になる。全部の棚を見て回る必要がなくなる。「今日の1品」を探す時間は10分以内で決めるようにしている。
実際に使っている私の固定リスト(公開)
正直なところ、最初のリストから変わったものもある。3ヶ月で2回くらい微調整した。今のリストはこれ。
タンパク質・野菜・常備品の3ジャンルで組む
タンパク質(週のメイン食材)
- 鶏むね肉:300g×2パック
- 卵:10個パック1つ
- 豆腐:木綿1丁
野菜・葉物
- もやし:1袋
- キャベツ:1/4カット
- 小松菜またはほうれん草:1袋(安い方)
- 玉ねぎ:3個入り
常備品(なくなったときだけ買い足す)
- 納豆:3個パック
- しらす干し
- めんつゆ・ポン酢(残量確認してから)

これで大体一週間の夕食はまかなえる。ランチは職場近くで買うことが多いので、このリストは夕食専用とわりと割り切っている。
このリストで実際に作る料理の組み合わせ
「同じ食材で飽きないか」という疑問には、こう答えている——飽きない、というか、そもそも飽きることを考えなくなった。
たとえば鶏むね肉だけでも、こんな展開がある。
- 月曜:塩ゆで鶏+ポン酢(10分で完成)
- 翌週月曜:鶏ハム(前日仕込み)
- その次の月曜:薄切りにして野菜炒め
同じ食材でも、切り方と加熱方法が変わると全然違う料理になる。「鶏むね肉で何を作るか」は毎週少し違う。固定されているのは「今週も鶏むね肉を買う」という事実だけ。
豆腐も同じで、「冷奴の日」「豆腐の味噌汁の日」「麻婆風に崩す日」がランダムに来る。調理法のバリエーションさえ知っていれば、食材固定は飽きとほぼ関係ない。
値段が変わっても量で調整する、という割り切り
固定リストにすると「値段が上がったときどうするの」という問題が出てくる。
私の答えは「量で調整する」だ。鶏むね肉が高い週は1パックにする。卵が10個298円を超えたら買う量を8個に変える。品目は変えない、量だけ変える。
品目を変えると「今週は鮭にしよう」→「でも鮭に合うのは……」という思考が始まって、また面倒になる。
値段変動の対処として、もう一つやっていることがある。「同じ食材を売っている複数の店を知っておく」こと。鶏むね肉が近所のスーパーで高かったら、少し遠いドラッグストアの方が安いとか。固定食材が決まっていると、価格を店ごとに比べやすくなる。
ちなみに食費の節約に関する情報は、農林水産省のウェブサイトでも食材の賢い使い方などが紹介されている。私の場合は「食材を固定する」というシンプルな方法が一番効果があったが、食材の使い切り方を学ぶのも参考になる。
3ヶ月使ってわかった節約効果と副次メリット
節約のために始めたわけじゃなかった。「考えるのをやめたかった」だけだった。でも結果として、食費は下がった。
食費が月4,000円下がった理由
以前:月の食費(夕食分)が約25,000〜28,000円
今:月20,000〜22,000円に落ち着いている
差額の原因を考えると、「衝動買いがなくなった」のが大きいと思う。リストを持って行くと余計なものを買わない。「おいしそう」でカゴに入れて、結果使い切れなかった食材が減った。
あと、「同じ食材を毎週買う」と決めると、自然に安い店・安いタイミングを把握するようになった。鶏むね肉はこの曜日に値引きされるとか、もやしは夜の方が安くなるとか。意識したわけじゃなくて、いつの間にか体が覚えていた。
これは買い物時間の節約にもつながっている。以前は「スーパーで何を買うか考えながら歩く」時間が15〜20分あった。今は5〜7分で済む。固定リストを持って店に入ると、目的の棚だけ回ればいい。売り場を全部見て回る必要がない。
賞味期限切れがほぼゼロになった
以前は週に1〜2回、何かを腐らせていた。豆腐を開け忘れたとか、もやしを袋ごと忘れていたとか。
今はほぼない。同じ食材を毎週買っているうちに、消費するタイミングが体に馴染んだ。月曜に鶏むね肉を使って、火曜に卵を使って、という流れが自然にできた。
「今週鶏むね肉を買ったから、月曜中に使わないと」という感覚が自然に身についた。毎週同じ食材を扱っているから、鮮度の感覚も身についてくる。もやしは3日で食べ切る、豆腐は開けたら2日以内、という判断が無意識にできるようになった。
食品ロスが気になっている方は、農林水産省のサイトでも食材管理に関する参考情報が公開されている(農林水産省 食品ロス・食品リサイクル)。私の場合は食材を固定化したことで、気づかないうちにロスが減っていた。
日本の年間食品ロスは数百万トン規模とも言われており(農林水産省の公表データを参照)、個人の工夫でできる対策は意外と多い。固定リスト化はそのひとつかもしれない。
スーパーへの「ついで買い」が減った
これは予想していなかったメリットだった。
リストがある状態でスーパーに行くと、「リスト以外のもの」への注意が減る。「このお菓子、安い」「この惣菜、おいしそう」という誘惑に気づく頻度が下がった。気づかなければ買わない。
ぶっちゃけ「意志の力でガマンした」わけじゃない。リストに集中しているから、そもそもお菓子コーナーで立ち止まる動作が減った、ということだと思う。
ついで買いが月どれくらい減ったかは正確には計算できないが、500〜1,000円程度は節約できている感覚がある。
想定外に「続いている」こと
「こんな単調な買い物、続くのか?」と最初は思っていた。でも3ヶ月続いている。
理由は多分、「続けようと意識していない」からだ。毎週同じものを買うだけなので、特別な努力や意志力を使わない。「今週はこうしよう」という計画も必要ない。
意識せず自然に続けられることが、習慣として一番強い。
固定リストが合わない人・合う人
正直に言う。固定リストが向かない人はいる。
合わない人:
- 料理に楽しさを求めている人(旬の食材・食べたいものを優先したい)
- 家族がいて「同じものが続く」と不満が出る場合
- 食材の値動きに敏感で、安いものを狙って変えたい人
- ストック管理が得意で、大量まとめ買いができる人(→ 固定化せずに済む)
合う人:
- 平日に献立を考える余力がない(残業・疲労が続く)
- 食費の見通しを立てたい
- 食品ロスを減らしたい
- 料理は「生存手段」と割り切っている
- スーパーで決断することが疲れる
私は完全に後者だ。料理は好きじゃないし、食べることへのこだわりもそんなに強くない。「まあこれで十分」と思える食事ができれば十分。だから固定リストは自分に向いていた。
「食の楽しみを減らしたくない」という人に無理に勧めるつもりはない。ただ「考えること自体がしんどい」という状態が続いているなら、一度試してみる価値はあると思っている。合わなければやめればいい。食材リストを固定にすることに、そんなにリスクはない。

まとめ
固定買い物リストを3ヶ月使った感想:はっきり言って、もっと早くやればよかった。
スーパーで立ち尽くす時間がなくなった。毎週何かを腐らせることがなくなった。ついでに食費が下がった。「考えない」ようにしたら、むしろうまくいくことが増えた。
デメリットとして「飽きる」を心配していたが、実際はそれほどでもなかった。同じ食材でも調理法を変えると別のものになる。鶏むね肉は茹でても、炒めても、蒸しても、レンジで加熱しても全部違う味になる。食材が固定でも、料理が固定になるわけじゃない。
「旬の食材が使えない」という批判はわかる。春にたけのこが食べたくなったり、夏にそうめんを食べたくなったりする。それは週末や外食で楽しめばいい、と割り切った。平日は「考えない」を優先する。土日は好きにする。そういう分け方にしたら、両立できた。
向かない人はいるし、全員に合う方法じゃない。でも「毎週何買うか考えるのが面倒」「スーパーで毎回立ち尽くしている」「冷蔵庫の中で何かを腐らせがち」という人には、試してみる価値がある。
まず最初の1週間、「自分が買ったものを全部メモする」だけで十分だ。それが固定リストの原型になる。
難しく考える必要はない。今すでに「なんとなく毎週同じものを買っている」なら、それを意識的にリストに落とすだけで、固定化は完成する。仕組みを作るのに時間はかからない。
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