ある日、肩こりがひどくなって、カバンの重さが原因かもしれないと思った。
試しに全部出してみたら、34個あった。
財布・定期券・スマホ・イヤホン・充電器・モバイルバッテリー・折り畳み傘・折り畳み傘(小)・エコバッグ・ポーチ・ハンカチ・ティッシュ・リップクリーム・目薬・胃腸薬・頭痛薬・絆創膏・ハンドクリーム・爪切り・ヘアゴム3本・マスク(予備)・ボールペン2本・ノート・付箋・のど飴・手帳……と数えていって、途中でちょっと笑けてきた。
この記事では、そこから15個まで減らした過程と、減らしてみて気づいたことを書く。「カバンを軽くしたいけど何から減らせばいいかわからない」という人に読んでもらえたらと思う。
この記事でわかること:
- 「念のため」アイテムを手放すための具体的な方法
- 30個→15個に減らした過程でわかったこと
- 減らして実際に困ったこと(ちゃんと書く)

カバンの中身を数えたことがなかった
カバンの中身を「数えたこと」は、それまで一度もなかった。
なんとなく使うものを入れていたし、必要そうなものを足していたし、気がついたらそれだけ増えていた、という感じ。カバン自体がトートバッグだったので、「入るから入れる」という状態になっていた。
友人が「カバンが重すぎて肩こりが悪化した」という話をしていて、そのとき「自分のカバン、何キロあるんだろう」と気になったのが最初だった。家の体重計で測ったら2.8kgあった。
ノートパソコンを持ち歩く人なら普通かもしれないけど、私はPCを持ち歩いていない。2.8kgは、普通に多い。
ある日カバンをひっくり返したら34個出てきた
全部出した日の話をする。
床の上に全部並べて、数えてみた。最初は「20個くらいかな」と思っていたのに、気づいたら34個あった。なんか、引いた。
34個のうち、「今日使った」ものはいくつあるか数えてみた。8個だった。
「先週使った」まで広げても13個だった。残りの21個は、1週間で一度も使っていなかったことになる。「念のため」で持ち歩いていたものが、実際には使っていなかった。
30個→15個に減らした過程
「不要なものを抜いていく」という方法は最初に試みて失敗した。
「これは必要かも」「念のためあったほうがいい」「でも昨日使ったから」という判断が積み重なって、結局3個しか減らせなかった。
方法を変えた。
まず「この1週間で使ったもの」だけ戻す実験
全部出した状態から、「この1週間で確実に使ったもの」だけをカバンに戻す、という実験をした。
1週間後、手元に戻ったのは17個だった。
そのうち2個は「持っていたほうが安心する」という気持ちで戻したもの(頭痛薬と絆創膏)で、実際に使ったわけじゃなかった。それを除くと15個。
「これだけでいい」ということが、実験してみるまで信じられなかった。
「念のため」を1つずつ疑っていく
残り19個は、全部「念のため」系だった。
判断基準にしたのは、「去年この場面で困ったか」という具体的な記憶だった。
- 折り畳み傘(小):去年、雨に降られて使ったのは3〜4回。大きい傘と二刀流である必要はなかった → 手放し
- モバイルバッテリー:職場で充電できるので、日帰り外出なら不要 → 手放し
- エコバッグ:毎日使っている。コンビニと帰り道のスーパー用 → 継続
- のど飴:1年に2〜3回しか使っていなかった。喉が痛い日だけポーチに入れればいい → 手放し
こんな判断を全アイテムに対してやった。1時間かかった。
デジタル化できたもの・小型化したもの
手帳は手放して、スマホのカレンダーとメモアプリに統合した。もともとアナログとデジタルを併用していたが、手帳を持ち歩かなくなって特に困っていない。
ボールペン2本は1本にした。失くしたことはそれなりにあるが、職場で借りれば済む。
財布はカード類を3枚に絞って薄型のものに変えた。ポイントカードはほぼアプリ化した。
「念のため」を手放すのが怖かった理由
判断していく中で、気づいたことがある。「念のため」を手放すのが怖い理由は2つあった。
ひとつは、「使わなかっただけで、今後使うかもしれない」という不確実性への不安。もうひとつは、「困ったときに手元にないと後悔する」という経験への恐れ。
でも、実際にやってみると、「困る場面」の多くは「別の手段で解決できる」だった。
薬は職場の薬箱か、コンビニで買える。傘はコンビニで買える。折り畳み傘の予備は不要だった。爪切りは職場のデスクに置けばいい。「持ち歩かない」は「存在を消す」ではなくて、「置き場所を変える」だけでよかったものが多かった。
それに気づいてから、判断が楽になった。「手放す」ではなく「どこに置くか変える」という考え方のほうが、心理的な抵抗が少なかった。
「カバンが軽い」の感覚が変わるまで
最初に軽くなったカバンを持ったとき、「なんか不安」だった。
軽すぎて、何か忘れた感覚があった。出勤途中で2回、カバンの中を確認した。財布ある、スマホある、定期券ある。全部あった。でも軽いと「足りない」気がした。
その感覚は1週間ほどで消えた。
2週目以降は「軽い」が普通になって、以前の「重いカバン」に戻ることのほうが嫌になってきた。通勤電車でカバンを持ち直す回数が減った。帰り道に肩が痛いと感じる日が、週に3〜4日あったのが1〜2日に減った。
「劇的に」ではない。でも、地味に続いていた不快感が少し減った。
持ち物の見直しを「毎日やること」にはしなかった
「カバンの中を整理する」という行為をルーティンにしようかと思ったが、やめた。
毎日「今日必要なものだけ入れる」をやると、それ自体が手間になる。フルタイム勤務で毎朝に余裕があるわけじゃない。結局「これが入っていれば大丈夫」という固定の15〜16個を決めて、変動するのは「今日だけ必要なもの」(雨の日の傘とか、外出先によっての追加)だけにした。
週に1回、土曜の朝か日曜の昼くらいに、カバンの中身をいったん全部出す。それで「使わなかったもの」を抜いて、「必要だったのに入っていなかったもの」を補充する。
その確認に10分もかからない。これだけで「なんとなく増えていく」という現象を防げている。
減らしてみてわかった、思っていたと違ったこと
減らした直後の1週間で「あれがない」と思った場面が3回あった。
1回目は頭痛薬。でも職場の薬箱に常備されていたので、実際には困らなかった。
2回目は折り畳み傘(小)。突然の雨に降られた日があったが、コンビニで200円のビニール傘を買った。カバン全体を軽くしていたので、傘を持っても苦じゃなかった。
3回目は爪切り。これはちょっと後悔した。職場のデスクに常備することにした。
減らして2ヶ月後の正直な感想
肩こりは、「劇的に」よくなったかというと、そうじゃない。
体感として「少し楽になった気がする」くらいで、整骨院に行く回数が減ったかというと微妙なところだ。カバンだけが原因じゃなくて、デスクワークの姿勢や睡眠時間とかも関係しているから、カバンの重さだけを切り取って「治った」とは言えない。
カバンの重さと肩こりの関係については、公益社団法人日本整形外科学会も「重い荷物を継続的に持ち続けることは肩・首への負担になる」と説明している。ただ、それが直接的に自分の肩こりを「治す」かどうかは別の話で、カバン以外の要因も大きい。
ただ、カバンの重さを意識すること自体が少なくなった。「これ、今日必要?」と考える癖がついたのは、思っていたより大きな変化だった。
フルタイム勤務だから持ち歩きたいものの特殊性
カバン軽量化の記事は世の中にたくさんある。でも多くは「フルタイム勤務の会社員」という文脈ではなく、「ミニマリストの日常」という文脈で書かれている。
そのギャップを感じたことがある。
フルタイム勤務だと、仕事用の書類や備品、職場と家を往復するための「両側で使うもの」が発生する。テレワーク日と出社日で持ち物が違う日もある。
私のケースで言うと、出社日は基本の15〜16個にプラスして、書類を入れることがある。それで重さが変わる。でも「書類がある日はそれ以外を削る」ということはしていない。書類の重さはしょうがない、と割り切っている。
仕事の書類はコントロールできない部分がある。コントロールできるのは「書類以外の部分」だ。そこで2.8kgを1.4kgくらいにできた(体重計で測定)。
今でも持ち歩いているものと、手放したもの
参考までに現状を書いておく。
カバンの中身を減らした体験談をまとめた記事は世の中に多くあるが、フルタイム勤務という文脈でカバンの中身を具体的な数で管理している事例は少ない。15〜20個前後で落ち着いている人が多い印象で、私の15〜16個はだいたいその範囲に入っている。消費者庁のエシカル消費に関する情報でも、「本当に必要なものだけを持つ」という考え方の広がりが示されている。モノの多さを見直す流れは、カバンの中身にも同じように当てはまる。
持ち歩いているもの(15〜16個):
財布(薄型)、定期券、スマホ、イヤホン、ハンカチ、ティッシュ(1袋)、リップクリーム、目薬、頭痛薬(小)、絆創膏(3枚)、折り畳み傘(大)、エコバッグ、ボールペン(1本)、ヘアゴム(1本)、マスク(1枚)、充電ケーブル(短め)
手放したもの:
折り畳み傘(小)、モバイルバッテリー、手帳、ノート、付箋、のど飴、爪切り、ハンドクリーム、胃腸薬、ボールペン(予備)、ヘアゴム(予備)、マスク(予備枚数を削減)
一部は「職場に置いておく」か「家に置いて必要な日だけ入れる」に変えた。持ち歩くか否かではなく「どこに置くか」を変えただけのものもある。

「減らせない」と思っていたものを手放したときの話
全部出して選別していく中で、「これだけは無理」と思っていたものがいくつかあった。
ひとつは手帳だ。
デジタルとアナログを使い分けていた理由は「スマホだと会議中に見にくい」「紙のほうが書きやすい」という実感があったから。でも1ヶ月だけ試してみることにした。手帳をカバンから抜いて、スマホのカレンダーだけで動く実験。
結果、1ヶ月で戻したくなることはなかった。
理由を考えると、私の「手帳が必要な場面」の大半はスマホで代替できていた。手帳でないといけない場面が、想像より少なかった。
ポイントカードも同じだった。財布にポイントカードが7枚入っていたが、よく使う店のアプリをスマホに入れたら、実物のカードが必要な場面がほとんどなくなった。今も財布に1枚だけ入っている(アプリ未対応の店)。
「手放せない」と思っていたものの多くは、「使い方を変えることで不要になる」ものだった。
「念のため」と「ちゃんと備える」の区別
減らしながら気づいたのは、「念のため」には2種類あるということだ。
ひとつは「本当に備えておく必要があるもの」。頭痛薬はこちらに入る。片頭痛持ちなので、発作が来たときに手元にないとどうにもならない。これは外した。
もうひとつは「なんとなく不安だから入れているもの」。のど飴はこちらだった。1年で使ったのが3〜4回で、そのうち2回は同僚からもらえた。「手元にないと困る場面」が実際にはほとんどなかった。
この区別を「去年使ったか」という基準でやると、意外とはっきり分かれた。
「去年この場面で困った記憶がある」→ 残す
「去年一度も使っていない」→ 基本的に手放す
この基準でやると、判断が感情から切り離せて楽だった。

まとめ:カバンは「持てるから持つ」じゃなくていい
34個あったカバンの中身を15個まで減らすのに、最初から「減らす」という方法は使わなかった。
「必要なものだけ戻す」という方法に変えてから、判断がぐっと楽になった。
ミニマリストになりたかったわけじゃない。ただ、2.8kgのカバンを毎日持ち歩くのが地味に疲れていて、「何を持ち歩く必要があるのか」を一度ちゃんと確認したかった。
減らして困ったことも、わりとあった。でも、そのほとんどは「別の場所に移すか、その場で解決できる問題」だった。
「念のため」は悪い考え方じゃないけど、「念のために全部持ち歩く」を続けると、カバンが2.8kgになる。
番外:カバンの中身を減らして一番変わったこと
意外だったのは、「カバンを探さなくなった」ことだ。
34個あった頃は、カバンの中を探す行為が頻繁にあった。「あのポーチの奥に入れたかな」「ポケットに突っ込んだか」「どこだっけ」と探す時間が、日常に溶け込んでいた。
15〜16個になってから、探す場面がほぼなくなった。定位置が決まっているから、「どこにあるか」が体で覚えられる量になった。
あと、カバンの中を見せるのが恥ずかしくなくなった。以前は「こんなに入ってるの、ちょっと恥ずかしいな」という気持ちがあった。今は「これだけ」と言えるものになっている。どうでもいい変化かもしれないけど、地味に気持ちが楽になった部分ではある。
持ち物を減らすことと「シンプルライフ」は別の話
カバンの中身を減らした、という話をすると「ミニマリストになったの?」と聞かれることがある。
違う。
部屋には物はそこそこあるし、捨てたいと思っていないものもたくさんある。カバンの中身を減らしたのは「シンプルライフの思想」からじゃなくて、「肩こりが嫌だった」からだ。
持ち物を減らすことは、何か大きな価値観の変換じゃなくていい。「これが重くて疲れてる」という具体的な困りごとへの対処として始めていい。
結果的に、ちょっと楽になった。それだけでいいと思っている。
「シンプルライフを目指す」「ミニマリストになる」という目標がなくても、カバンの中身を一度全部出して数えてみるだけで、思っていたより単純に解決することがある。私の場合はそうだった。
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