持ち物が少ない暮らしのメリット・デメリット——正直に言います

シンプルライフ思考

「持ち物が少ない暮らし、どうですか?」と聞かれたら、「まあ良かったけど、困ったこともある」と答える。

メリットもデメリットも、ちゃんと両方ある。なのにネットで調べると「すっきりした!最高!」みたいな記事ばかりで、なんか現実と違うなと思うことが多い。

この記事でわかること:

  • 持ち物を減らして実際に良かったこと(5つ)
  • 正直困ったこと・後悔した場面(3つ)
  • 向いていない人の話

都内1K賃貸・フルタイム勤務・32歳の私が3年間でたどり着いた、等身大の記録です。「少ない暮らし」の良い面も悪い面も、飾らずに書きます。

minimalist room simple life
Photo by Andrew Neel on Unsplash

持ち物を減らそうと思ったきっかけ

きっかけは引っ越しだった。

28歳のとき、仕事の事情で都内の別の区に移ることになって、荷物の梱包を業者の人と一緒にやった。そのとき言われたのが「わりと多いですね、一人暮らしにしては」という一言。

ダンボールが18箱。一人暮らしの1K。何がそんなに入ってたのか自分でもよくわかってなかったくらい、なんとなく物が増えてた。「こういうのがあったら便利」で買ったものの、ほとんど使っていなかった書籍や雑貨。あとはもらったもの、いつか使うかもと思って取っておいたもの。そういうものが引き出しの奥や棚の隙間に詰まってた。

引っ越し後の新居で荷物を解きながら、「これ、本当に必要か?」と初めて真剣に考えた。使っていないものを段ボールから出して棚に戻す作業をしていて、なんか違うなと思った。「しまう場所を確保するために引っ越したわけじゃない」という感覚があった。

その引っ越しが終わって荷物を解いてから、「次の引っ越しまでに半分にする」と決めた。それが持ち物を減らし始めたはじまり。いまは大体7箱くらい。もし引っ越せと言われても、週末1日あれば終わる気がする。

減らすこと自体を目的にしたわけじゃなくて、「管理できる量で暮らしたい」という感覚から始まった。ミニマリストになりたいとか、シンプルライフを実践したいとかいう意識はあまりなくて、ただ「把握できない量の物を持ちたくない」という感じ。

正直良かったこと——生活が変わったメリット5つ

探しものがなくなって、時間が戻ってきた

物が多かったころは、週に1〜2回は「あれどこ?」が起きてた。鍵とか、充電ケーブルとか、ハサミとか。5分見つからないと地味に焦る。10分探して見つからなかったとき、「どこかで落としたかも」と不安になって職場に電話したこともある。あれは結局、コートのポケットの中にあった。

今はほぼない。ものの定位置がはっきりしてるし、そもそも定位置に入らない量の物しか持っていない。充電ケーブルは1本。ハサミは1本。どこにあるかが常に把握できてる。

年間で計算すると、探しもので失ってた時間が結構あったんだなと思う。「よく2.5日分くらい探しものに費やしている」という話をどこかで読んだことがある。私の場合そこまではなかった気もするけど、週5分として計算しても年間で4時間以上は消えてた。それが戻ってきた感覚はある。

ちなみに、消費者庁が公表している調査でも、「生活の中での物の整理・管理に時間を取られている」と感じる人の割合は意外と高い。自分の時間を何に使うかという問題は、持ち物の量と地続きにある。

なんだかんだ、「物を把握できている」というだけで、地味に安心感がある。

衝動買いが消えて、気づいたらお金が残っていた

これは狙ってなかった。節約しようと思ってたわけじゃなくて、物が少なくなってから自然とそうなった。

物が少ないと「今あるもので足りてる」が基準になるから、「かわいい」「安い」だけでは買わなくなる。以前は雑貨屋でよく「これ良さそう」と思って買ってたけど、今は「置く場所があるか」「すでに似たものがないか」を考えるので、大体やめる。

あとは、セールに弱かった。「今買わないと損」という感覚が昔はよくあって、必要かどうかよりも「お得かどうか」で判断してた。物が少ない暮らしに慣れてくると、「今あるもので十分なのにお得だから買う」というロジックがなんか変だ、と感じるようになってきた。

服の年間支出が以前は6万円くらいだったのが、今は1.5万〜2万円程度。日用品費も月8,000円くらいかかってたのが今は3,500〜4,000円。「使ったな」という感覚もなく、気づいたら残ってた、という感じが正しい。

ためようとしてたんじゃなくて、気づいたら残ってた、という感じが正しい。

引っ越しと模様替えが、びっくりするほど楽になった

7箱なら2時間で積み込める。前は大型家具も多かったし、捨てる判断が面倒で「とりあえず持っていく」ものが大量だった。

引っ越しのとき一番面倒だったのが「これ持っていく?」の判断作業だった。捨てると決めれば処分コストがかかるし、持っていけば荷物が増える。「迷うくらいならとりあえず持っていく」で大量の不要品が新居についてきた。

今は、大型家具は最低限(ベッド・冷蔵庫・洗濯機・デスク)。模様替えも「動かすものが少ない」から一人でできる。「これは使ってるから確実に必要」という物しかないので、引っ越しの選択が楽になった。

賃貸に住んでると、いつかまた引っ越しがあるかもしれないという前提で暮らしてる部分がある。都内だと職場が変わるたびに住む場所を変えることもあるし。その「引っ越しコスト」が下がったのは地味に大きかった。業者に頼む荷物が少ないと料金も安くなる。国土交通省のデータによると賃貸住宅の平均居住年数は年々短くなってきており、引っ越しを前提とした持ち物管理は都市部の一人暮らしにとってリアルな課題だと思ってる。

「もうひとつある」が消えた安心感

物が多かったころは、「確かこれ、もう一個あったよな」という状態がよく起きてた。引き出しの奥から「あ、これ持ってたんだ」が出てくる感じ。同じ商品を二重買いしていたことも何度かある。ストックとして買ったつもりが忘れていて、また買ってしまうパターン。

持ち物が少ないと、「自分が何を持っているか」が把握できてる。二重買いがなくなった。同じボールペンを3本持ってたとか、そういうことがなくなった。

持ち物の全容が把握できると、買い物のときに「これは持ってたっけ?」という確認が要らなくなる。「あるかどうかわからないから念のため」という買い方がなくなるので、ここでもお金の節約につながる。地味だけど、管理コストが下がった実感というか、「在庫チェック」から解放された感覚がある。

掃除にかかる時間が半分以下になった

物が多い部屋の掃除は、まず「どかす」作業から始まる。床に物を置いてたら掃除機をかける前に片付けが必要。棚に物が詰まっていると拭き掃除もやりにくい。

今は床に物がない状態が普通なので、掃除機をかけるだけ。週末30分でひととおり終わる。以前は1時間以上かかってた気がする。

掃除が楽になると、「やらなきゃ」という重さがなくなる。以前は「週末は掃除もしなきゃ」がストレスの一因だったけど、今は週末の掃除が30分で終わるので、「やること」のひとつとして軽い。重さが違う。

週に一度、掃除機と床拭きを30分やって終わり。フローリングのモップがけは1分もかからない。これが許せるのも、床に物が少なくて動線が出ているから。

clean apartment floor space
Photo by Manuel Will on Unsplash

正直困ったこと——デメリットも3つある

ここが書きたかった部分。メリットだけ書いてもしょうがない。

急な来客に対応できる「予備」がない

職場の先輩が急に近くに来た際に「ちょっと寄ってもいい?」と言われて、その場は断ったことがある。部屋は別に汚くないんだけど、「座れるソファがない」「出せるお茶の器がない」という問題があって。

来客用の布団もなければ、なんとなくで積んでいた予備の食器もない。「急に泊まって」にも対応できないし、複数人が来ても全員分のコップが出せない。

物が少ない生活をしていると、「もてなす道具」がほとんどない。それは事実で、それが困ることとして出てくる場面もある。「一人暮らしだし来客なんてほぼない」と思ってたけど、ゼロじゃなかった。

今は一応、来客のことを考えて「出せるコップと皿を4人分」だけキープするようにしてる。それ以上は必要に応じて対応、という割り切り。ソファはない。来客があるなら床に座ってもらう、というスタンスに変えた。それでいいかどうかは価値観の問題だけど、私は今のところそれでいいと思ってる。

「持っていれば良かった」と後悔した場面

体調を崩したとき、ティッシュのストックがなくてコンビニに行ったことがある。38度の熱がある日に、近所のコンビニまで100mを歩いた。「1箱くらい余分に持っておけばよかった」と思った。

あと、傘。折り畳み傘1本しか持っていなくて、それを職場に忘れたとき、家に帰るまでずっと濡れた。傘って2本あってもよかったなと思う。もう一本持つことにした。

「最低限」に絞り込んでいくと、「非常時の余白」もなくなる。体調不良・忘れ物・急なアクシデントに対応する余力がゼロになる。減らしすぎた時期はそれが顕著で、「ここまで減らさなくてよかったな」と思うものがいくつかあった。

今は「非常時用に持っておくもの」を少し定義し直した。薬(解熱剤・胃薬・絆創膏)、ティッシュ2箱、傘2本。これは「ストック」ではなくて「緊急時の備え」という位置づけで持っている。減らすのは日常の「なんとなくある」ものであって、本当に必要なものは別の話、という整理。

「持ち物少ないね」と言われる微妙な感覚

友人に部屋を見せたとき「殺風景じゃない?」と言われたことがある。本人に悪意はないんだけど、ちょっとだけ「そうかな?」と思う。私にとっては十分なものがあって普通に生活してるのに、「殺風景」という評価が来る。

ものを少なくしてることを積極的に話すと「ミニマリストなの?」と聞かれるし、「そういうわけでもないんだけど」と毎回説明する羽目になる。

「節約してるの?」と聞かれることもある。節約を目的にしてるわけじゃないんだけど、「物が少ない=節約中」という解釈をされやすい。ちょっと違うんだけど、説明が長くなるのでそのままにしてることが多い。

大げさな不満ではないけど、周りと価値観がズレていることを感じる場面は、地味にある。そういう反応に慣れるまで少し時間がかかったし、「私の感覚がおかしいのかな」と思う瞬間もあった。今はそこまで気にならなくなったけど。

simple living personal items
Photo by Zulfugar Karimov on Unsplash

「何を持ち、何を持たないか」を決める基準

持ち物を減らしていく過程で一番悩むのが「これはとっておくべきか」の判断基準だと思う。私が3年使ってきた基準をまとめておく。

残すもの:

  • 直近3ヶ月以内に使ったもの
  • これがなくなったとき「買い直す」と確実に思えるもの
  • 非常時の備えとして意図的に持つもの(薬・傘・ティッシュのストック等)

手放すもの:

  • 「いつか使うかも」が1年以上続いているもの
  • 同じ機能のものが2つ以上あるもの
  • 保管に手間・場所・管理コストがかかっているもの

この基準を作ってから、「残す・手放す」の判断が楽になった。特に「いつか使うかも」は危険なワードで、1年使わなければほぼ「いつか」は来ない。使うタイミングが来たときに「また買えばいい」と思えるかどうかが分かれ目。

持ち物の「量」を目標にするよりも、「把握できる量」を意識するほうが長続きした気がする。「何個以下にする」という数字目標よりも、「全部の在庫を頭の中で言えるか」という感覚の目標のほうが、自分には合っていた。

持ち物を少なくするのに向かない人もいる

これは書いておかないと、とは思ってる。

物が少ない暮らしは、全員に向いてるわけじゃない。少なくとも以下の状況の人には、「減らすのが正解」とは言いにくい。

  • 趣味やコレクションが生活の中心にある人(断捨離することで楽しみが消える)
  • 子育て中・介護中など、多様な用途に備える必要がある人(備えが必要なフェーズがある)
  • 物が多いほど安心感を得られるタイプの人(心理的な部分はリアルに違う)
  • 来客が多く、人をもてなす機会を大切にしたい人
  • ものを選ぶ・吟味する時間そのものが好きな人(ショッピングが楽しみの一部)

「すっきりすれば全員が幸せになる」とは思っていない。私には合っていたけど、それは私の生活スタイル・仕事量・価値観に合ってたから、という話だと思う。

フルタイムで残業があって、家に帰ったら「管理するものが少ない状態」に休まりたいという人には向いてる。でも、たとえばものを集めること自体が楽しみでコレクションが大切、という人に「減らすといい」とは思わない。

あと、「減らした後の空間を整える」ことが好きになってしまって、また収納グッズや雑貨を買い始める人も一定数いると思う。私も一時期そうなりかけた。減らした部屋にミニマルっぽいインテリアを揃えたくなってきて、わりと買いそうになった。そこで気づいたのが「量より選択肢を減らすことが目的だった」ということで、止まれた。目的がずれると向かない方向に進むことがある。

まとめ:「少ない」の基準は自分で決める

持ち物が少ない暮らしをして3年。

良かったこととしては、探しものゼロ・衝動買い減少・引っ越し楽・お金が残る・掃除が楽になった。困ったこととしては、来客対応力の低下・非常時の余白がない・周りとのズレを感じる場面がある。

総合的に言えば「やめられない」し、今後も続けると思う。ただ、「少なければ少ないほど良い」は私の感覚と違って、「管理できる量で、ストレスが少ない量」が一番いい。

ストックをゼロにした時期は明らかにやりすぎで、今は体調不良時の薬・ティッシュ2箱・傘2本はキープするようになった。デメリットで気づいたことは、ちゃんと調整に使った。

「持ち物が少ない暮らしのメリットは?」と聞かれたら答えられる。「デメリットは?」と聞かれても答えられる。その両方がわかってから、「自分に合った少なさ」を決められるようになった気がする。「少ない」のゴールは人によって違うし、自分で決めていいと思う。

誰かの「この量で暮らしてます」に憧れる必要はなくて、自分が管理できて気持ちが楽な量がそれぞれにある。私にとっての今の量が、今の答え。


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