料理のやる気が出ない日の生存戦略——家に帰ってから5分で食べるまでの話

ずぼら食生活

帰ってきてコートを脱いだ瞬間に、もう無理だとわかる夜がある。

料理する気力がない。外に出る気力もない。ソファに座ったら最後、動けなくなるのが目に見えている。それでも、お腹は空いている。

この記事はそういう夜の話だ。

「外食してもいいじゃない」「コンビニに行けばいいじゃない」という話はここではしない。外に出たくない夜に、家にあるもので5分以内に食べ始めるための話だけをする。外食やコンビニを選ぶかどうかの話は、別の記事でやっている。

この記事でわかること:

  • 在宅で5分以内に食べ始めるための具体的な手段
  • やる気ゼロの夜のために週末にやっておくこと
  • 冷凍庫が空っぽで詰んだ夜の話(失敗談)
frozen food simple dinner tired
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この記事でやること・やらないこと

最初に明確にしておく。

やること: 家にある冷凍食品・カップ麺・レトルト食品を使って、5分以内に食べ始めるための話

やらないこと: 外食・コンビニ・デリバリー・ミールキットの評価。それらを選ぶかどうかの話はしない

「料理のやる気が出ない日」に関する記事を検索すると、ほぼ必ず外食・デリバリー・冷凍弁当サービスが並んで出てくる。でも「外に出たくない夜」や「サブスクを契約するほどではない夜」の話が少ない。

私の場合、月水金は意識的に料理をしない日にしている(料理する気力が平日には残っていないから)。その夜をどうしのいでいるかを書く。

帰ってきた瞬間、もう無理だとわかる夜がある

フルタイム勤務で、残業が続いた週の木曜夜とかが一番しんどい。

帰り道はスーパーの前を通るが、入る気がしない。コンビニの入口を見ても「袋に入れて持って帰る」という行為が面倒に感じる。電車で座ることしか考えていなかった、という状態の日がある。

そういう夜に「じゃあ作ろう」という選択肢はもともとない。問題は「家にあるものだけで食べられるか」だ。

2年前、その問いへの答えを準備していなかった。冷凍庫を開けたら、ほぼ空だった。冷蔵庫に卵が2個と豆腐があった。スーパーには行けなかった。コンビニに行く気力もなかった。

結局、豆腐に醤油をかけて食べた。

悪くはなかった。でも、その夜を「豆腐に醤油の夜」として記憶してから、「冷凍庫の備蓄」をちゃんと考えるようになった。

家にある「5分で食べられるもの」の棚卸し

在宅でやる気ゼロの夜に頼れるものを、3種類に分けて整理している。

冷凍食品:レンジ時間が全て

冷凍食品は「レンジに入れてから食べ始めるまでの時間」が全てだと思っている。

私が常備しているのは以下の3〜4種類。ローテーションで変えているが、常に何かが入っている状態にしている。

チャーハン系(3〜5分): 袋から皿に移してレンジに入れるだけ。洗い物が少ない。一食として完結している。

冷凍うどん・冷凍パスタ(3〜5分): レンジ対応のものを選ぶと、鍋も要らない。麺類は満足感が高い。

餃子・点心系(4〜6分): 焼くタイプは洗い物が増えるので、蒸し・レンジタイプを選ぶようにした。やる気ゼロの夜に「フライパンを出す」という選択はしない。

冷凍ご飯+おかずセット(5〜7分): 週末に炊いた米を小分けにして冷凍しておくと、ご飯だけ確保できる。おかずは別に考える。

選ぶ基準は「鍋・フライパンを使わない」こと。洗い物が増える手段は、やる気ゼロの夜には向かない。

カップ麺・カップうどん:お湯を沸かすだけでいい夜用

電気ケトルがあれば、お湯を沸かすだけで食べられる。

カップ麺は「手抜き」というより、「完成された食のインフラ」だと思っている。調理が必要ない、後片付けがカップを捨てるだけ、3〜5分で食べられる。条件が揃いすぎている。

なお、カップ麺の塩分量については農林水産省「食事バランスガイド」でも参考にできるが、「疲れた夜の1食をカップ麺で済ませることの是非」を栄養学的に語るのはこの記事の目的ではない。今夜を乗り切るための選択肢として機能するかどうか、という観点で書いている。

ただ、お湯を沸かす気力すらない夜というのが、たまにある。

そういう夜のために、カップ麺の前に「お湯を沸かすのは3分で終わる」と一度考えるようにしている。「やる気がない」と「物理的に3分が使えない」は別の話だ。3分ならできる、と思えると少し動けることがある。

常備数は最低2個にしている。1個だと「最後の1個」を使うことへの心理的抵抗が生まれる。2個あれば、気軽に使える。

レトルト食品:常温保存で地味に助かる

常温で保存できる点が、冷凍食品と違う強みだ。

冷凍庫は容量に限りがあるが、棚には余裕がある。レトルトカレー・レトルトの丼もの・スープ系のパウチを数種類常備している。

電子レンジ対応品を選ぶと、温めも早い。レンジ非対応品は湯煎が必要になるが、それもお湯を沸かすだけなので大差ない。

レトルトカレー+レトルトご飯の組み合わせ: 両方をレンジで温めれば5〜6分で完成する。完全に「料理していない」が、食べた満足感はわりとある。

レトルト丼もの(牛丼・親子丼系): ご飯さえあれば即完成。週末に炊いておいた冷凍ご飯と組み合わせると有効だ。

retort pouch simple meal preparation
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「5分で食べる」を実現するための仕込み(週末にやること)

「やる気ゼロの夜」に備えるために、週末に10〜15分だけ仕込みをしている。

料理の仕込みではなく、「食べられる状態を確保する」仕込みだ。

冷凍庫に何を入れておくか

週末のスーパーかネットスーパーで、以下を補充する。

  • 冷凍食品2〜3種(種類を変えてローテーション)
  • カップ麺・カップうどん(2個以上になるよう)
  • レトルト食品(切れていたら補充)
  • 米(週に2〜3合炊いて冷凍しておく)

冷凍庫が「ちゃんと埋まっている」状態を見るだけで、心理的な安心感がある。「今週は詰まない」という確信が生まれる。

一番避けたいのは「冷凍庫が空の状態でやる気ゼロの夜を迎える」ことだ。

「考えなくていい日」をあらかじめ設計する

私は月水金を「料理しない日」と決めている。

この日は考えない。冷凍庫から出すか、カップ麺にするか、レトルトにするか、その3択の中から選ぶ。「今日は料理するか決めなければいけない」という意思決定コスト自体をなくしている。

火木は少し作れそうなら作る、無理なら同じく在宅しのぎ手段を使う。週末は気が向けば作る。気が向かなければ在宅しのぎでいい。

「料理するかどうか」を毎日判断するのが、地味に消耗する。月水金は最初から「しない日」と決めておくことで、その判断を省けた。

「5分以内に食べ始める」のシミュレーション

実際にどう動いているかを書いておく。

帰宅してから、だいたいこういう流れだ。

電気ケトルに水を入れてスイッチを入れる(30秒)

これが最初。コートを脱ぎながらやる。お湯が沸くのに2〜3分かかるので、他の準備と並行できる。カップ麺を使う夜はここでスタートすれば3分後には食べ始められる。

冷凍庫を開けて今夜のものを決める(1分)

選択肢は多くない。入っているものの中から気分で選ぶ。「どっちにしようか悩む」を5秒で終わらせる。迷ったときはチャーハンにしている。

レンジに入れる・お湯を注ぐ(30秒〜1分)

後片付けのことを考えて、皿を増やさないようにする。パウチのまま温められるものはそのまま。カップ麺は直接お湯を注ぐ。

待つ(3〜5分)

この時間に着替えるか、ソファに座るか。着替えが面倒な夜はそのまま食べることもある。

食べる

以上。

「食べるまでの時間」を意識して動くと、実際に5分以内に食べ始めることができる。大事なのは「冷凍食品を出してからレンジに入れるまでの動作数」を少なくすること。

やる気ゼロ度合いによる使い分け

やる気がゼロにも「レベル」がある。

レベル1(少しだけ動ける): 冷凍食品で少し手間のかかるもの(餃子の皿移しなど)でも大丈夫

レベル2(ほとんど動けない): カップ麺か、袋からそのままレンジに入れられる冷凍食品

レベル3(本当に無理): お湯を沸かしてカップ麺。それすら無理ならレトルトカレーを皿に出してレンジ。洗い物は最小限

レベル3の夜に「少しがんばれば作れる」と思うのは危険だ。作り始めて途中でエネルギーが切れると、台所が中途半端な状態になる。フライパンを洗う気力がなくなって、翌朝まで放置して後悔する。

「今夜のやる気レベル」を帰り道で判断して、それに合った選択肢を選ぶ。それだけで「作ろうとして失敗する」という事態を防げる。

「カップ麺でいいのか」問題について

これを書いておかないといけない気がするので書く。

カップ麺や冷凍食品の夜が続くと、栄養面が心配になることがある。私もなる。

ただ、「やる気ゼロの夜に栄養バランスを整えようとすること」には無理がある。栄養バランスを整える気力があるなら、そもそもやる気がそんなにゼロじゃない。

私がやっているのは、「カップ麺の夜が連続で3日以上続きそうなら、4日目の夕方にネットスーパーで野菜を注文する」という対処だ。

「今日を生き延びる」と「栄養を整える」は別のタスクとして扱っている。今夜がやる気ゼロなら今夜はしのぐ。余裕がある日に少し補う。それくらいの感覚でいい、と割り切っている。

カップ麺が体に悪いかどうか、という話はここではしない。毎日食べ続けることへの懸念はあると思うが、「疲れた夜の選択肢の一つ」として使う分には、個人的には問題ないと考えている。

「料理しない日」を決めると何が変わるか

月水金を「料理しない日」にしてから変わったことを書く。

一番大きかったのは、「料理するかどうか迷う」という精神的な消耗がなくなったことだ。

以前は帰り道に「今日は料理できるかな、できないかな」と毎回考えていた。疲れているのにそれを考えること自体が消耗だった。月水金は最初から「しない」と決めたことで、その判断が消えた。

帰り道が少し楽になった。「今日は料理しない日だから冷凍食品で済ませる」と決まっているだけで、頭の使い方が変わる。

「料理しない日」を作ることへの罪悪感は、最初は少しあった。「ちゃんと作らないといけない」という思い込みが抜けるまで、2〜3週間かかった。今はまったく気にしていない。

週5日のうち3日が「在宅しのぎ」で、残り2日で少し作れれば十分だと思っている。週末に気が向けば作る。気が向かなければ在宅しのぎでいい。

やる気ゼロの夜にやらかした失敗

備蓄があっても、失敗することはある。

一番記憶に残っているのは、「冷凍食品を入れたつもりで冷凍庫が空だった夜」だ。

週末にスーパーに行ったとき、「まだ冷凍食品あったかな」と確認せずに買い足さなかった。帰宅して冷凍庫を開けたら、チャーハン1袋だけだった。カップ麺も切らしていた。レトルトカレーは1袋あった。

その夜はレトルトカレーを食べた。食べ終わったあとに「来週からは確認してから買う」と思った。

それ以来、週末スーパーに行く前に冷凍庫を開けて確認するようにしている。冷凍食品が1種類しかなければ補充する。カップ麺が1個以下ならまとめて買う。

小さいことだが、「帰ったら何もない」状態にならないための唯一の防衛ラインだ。

もうひとつの失敗は、「5分で作れるレシピを試みた夜」だ。

「卵焼きくらいなら作れる」と思って始めたが、フライパンを出して・火をつけて・卵を溶いて・焼いて・洗って、で15分かかった。最後の「洗う」作業が一番きつかった。やる気ゼロの夜に「洗い物を出す」選択はしてはいけない、ということを体で覚えた。

冷凍庫の「ローテーション管理」でマンネリを防ぐ

毎週同じ冷凍食品ばかりになると、食べる気力がさらに下がることがある。

「また同じか」という感覚が積み重なると、「食べるのが面倒」になる。これはやる気ゼロの夜に余計に効いてくる。

対策は単純で、「毎週違う種類を1つ追加する」だけだ。

先週はチャーハンと冷凍うどんだったなら、今週はパスタ系か中華丼を追加してみる。4〜5種類のローテーションができると、「今日はどれにしようか」の選択が少しだけ楽しくなる。飽きを防ぐための多様性は、「5種類くらい」あれば十分だった。

ただ、増やしすぎると冷凍庫が混雑して、何があるかわからなくなる。私は冷凍食品専用のエリアを決めていて、そこに3〜5種類が入る量を上限にしている。

「電気ケトルがない場合」どうするか

電気ケトルがあることを前提に書いてきたが、持っていない場合は鍋かヤカンを使うことになる。

電気ケトルは、「お湯を沸かす」という行為のハードルを大きく下げてくれる。沸くまで待てばいい、ボタン一つ、それだけなので、やる気ゼロの夜でも操作できる。

もし持っていなければ、やる気ゼロの夜対策として投資する価値があると思う。1,000〜2,000円台のものでも十分機能する。毎日コーヒーを飲む人はなおさら元が取れる。

私が使っているのも数千円台のシンプルなものだ。温度調整機能など必要ない。沸かせれば十分。

「食べない」という選択肢について

補足しておく。

「疲れて帰って、何も食べずに寝た」という夜も、ゼロではない。

お腹が空いているのに動けない夜、「もう食べなくていいや」と思って横になることがある。翌朝起きたら頭が痛かった、という経験も何度かした。

そういう夜のために備蓄があるわけで、「食べない」よりカップ麺1個のほうが翌日のコンディションはいい、というのは経験でわかっている。

「食べなくていい」と思うくらいの疲弊度のとき、カップ麺を食べる選択ができるかどうかは、電気ケトルと備蓄次第だと思っている。「ボタンを押してお湯を沸かす」「お湯を注いで3分待つ」という操作ができる状態なら、それだけで食べ始められる。

カップ麺は、そういう意味での最終防衛ラインだ。

外食・コンビニに頼りたい夜は別の話

在宅しのぎがうまくいかない夜もある。

冷凍庫が空のとき・カップ麺も切れているとき・どうしても熱いものが食べたいとき。そういう夜に「外に出る」「デリバリーを頼む」という選択肢が出てくる。

その判断については、この記事では扱わない。外食・コンビニ・デリバリーを選ぶかどうか、選んでいいかどうか、の話は別の記事でやっている。

備蓄リストを一度作ると管理が楽になる

最初は「何を常備すればいいかわからない」という状態だった。

試行錯誤して今に落ち着いた備蓄リストを参考に書いておく。あくまで私の場合なので、使いやすいものに変えてほしい。

冷凍庫に常時あるもの:

  • 冷凍チャーハン(1〜2袋)
  • 冷凍うどん(2〜3食分)
  • 冷凍パスタ or 中華丼の素(1〜2種)
  • 冷凍ご飯(週に炊いたもの、3〜4食分)

棚(常温)に常時あるもの:

  • カップ麺・カップうどん(2〜3個)
  • レトルトカレー(2〜3袋)
  • レトルト丼もの(1〜2袋)
  • 醤油・塩・油(調味料の基本は切らさない)

週末にスーパーへ行く前、このリストを見て「切れているもの」だけ補充する。全部揃えようとしなくていい。「少なくなっているもの」を足すだけでいい。

管理が面倒なら、スマホのメモアプリに現在の在庫数を書いておくだけで十分だ。私はそれもやっていない。冷凍庫を開けて目視確認するだけで、だいたいわかる。

frozen food pantry stock kitchen
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まとめ:「在宅でしのぐ」の技術は地味に必要だった

料理のやる気が出ない日の生存戦略を書いた。

要約すると、備蓄があれば外に出なくても5分以内に食べられる、ということだ。

冷凍食品はレンジ対応のものを選ぶ。カップ麺は電気ケトルがあれば完結する。レトルトは常温で保存できるから冷凍庫の容量を使わない。この3種類を常備しておくだけで、やる気ゼロの夜のほぼすべてをカバーできる。

仕込みに必要なのは週末10〜15分の補充確認だけ。「料理しない日」を最初から曜日で決めておくと、判断コストが減る。

豆腐に醤油の夜を経験して気づいたのは、「備蓄を切らさない」という単純なことがいかに大事かということだった。理想的な食生活じゃなくていい。「今夜詰まない」状態を維持するだけで、だいぶ楽になる。

「生存戦略」というのは大げさな言葉に聞こえるかもしれないが、フルタイム勤務でへとへとになって帰ってくる夜の食事は、本当にそのレベルの話だと思っている。総務省「社会生活基本調査」によると、有業者の食事準備時間は年々短縮傾向にある。「料理をしない日を作る」という選択は、現代の生活の実情に即した判断だと思っている。今日を乗り越えるための、最低限の手段。それで十分だ。

栄養がちゃんと取れているかどうかとか、料理としての完成度とかは、余裕がある日に考えればいい。今夜やる気ゼロの夜は、5分以内に食べ始めることだけを考える。それだけで、翌日の体がわりと違う。


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